「繋ぐ産婦人科リハビリテーション ーオンライン学会もどきー」で出産ドゥーラの効果を紹介させていただきました


2020年12月6日

日本の理学療法士さんが中心となって開かれた「オンライン学会もどき」で

アメリカにおける出産ドゥーラとしての取り組みをお話しさせていただきました。


なぜ「学会”もどき”」なのか?ちょっと変わったネーミングには 主催者の方たちの思いがこもっているんです。


以下、彼女たちの思いを引用させていただきます:


「もどき、、この言葉に込めた意味は、

軒並み、学会や教育セミナーが中止されていた時期、

コロナ禍でも、困っている妊婦さん、ママ、そしてベビー、家族のために、

産前産後ケアに携わる私たちが、

学びを止めず、繋がりを止めてはいけない。

大規模なきちんとした学会のようにはできないけれど、

やれることをやってみよう。

こんなことからスタートしました。」


この思いに感動して、興味あるのですが「リハビリ」でもないし「国内」でも

ないのですが。。。。とご相談させていただいたところ


リハビリに関わる産前産後のケアを提供する色々な方と「つながる」のが目的です! クライアントで帰国される方のためも、国内でそのような方達とつながるのも意味があるのでは?

出産ドゥーラやアメリカでの活動や、ドゥーラシップジャパンのことも聞かせていただきたいです!


と背中を押していただいて、お話させていただく機会をいただきました。


当日は緊張と元来のはなし下手のせいであまりうまくご説明できなかったのですが、

ドゥーラというのが、妊娠中から出産・産後まで継続して寄り添うサポートなのだというのを

少しでも広く知っていただけたら嬉しいです。


そこでご紹介したのが、コクランのシステマティックレビューとして発表された

「出産中の女性への継続的支援」

という研究。


2013年に発表されたデータをもとにしていますが、

研究自体はその後2017年に新しいデータを追加してアップデートされています。

https://doi.org/10.1002/14651858.CD003766.pub6

日本のドゥーラ研究の第一人者である筑波大学の福澤(岸)利江子先生も参加されており、

更に日本語訳まで提供していただいています。


この研究結果をChildbirth Connection (http://www.childbirthconnection.org)という団体が

インフォグラフィックスとして分かり易く提供しているので、

その一部をご紹介しました。 https://www.nationalpartnership.org/assets/img/infographics/final_doula-brief-infographic-image.png


インフォグラフィックス自体は、

アメリカで出産ドゥーラをメディケイド(低所得者向け公的医療保険)や

民間の医療保険の対象にという目的で作られています。



この一番上の部分がドゥーラのような「出産中の継続的な寄り添い」

があった場合の効果です。


鎮痛剤の使用9%減

Pitocin(陣痛促進剤)の使用31%減

出産経験を否定的に評価することが34%減

分娩所要時間が40分短縮

帝王切開率が28%減

自然経膣分娩が12%増

新生児の5分アプガースコアが低くなることが少ない

母乳育児率のアップ(←2017年のシステマティックレビューでは、この点は「継続的支援の効果は特に見られなかった」とアップデートされました)


学会でお話しさせていただいた時に参加者の方からもコメントいただいたのですが、

「数字で出てるってすごいですね!」

ほんとうに!!


ちなみに、この「継続的な寄り添い」はドゥーラのような専門的な人でないといけないのか、

パートナーや家族と言ったとくに出産について知識や経験があまりない人でもいいのか。


という点については、


2017年のシステマティックレビューで、

「継続的支援の提供者がその支援のためだけに存在し、

産婦自身のもともとの知り合いではなく、

陣痛中の支援方法について経験があり、

ドゥーラのように少なくともある程度のトレーニングを受けている場合に、有益であるようだ。

陣痛中に付き添いがない場合と比べると、

産婦の家族や友人から選ばれた付き添い者に支援を受ける場合には

自身の出産体験への満足度が高まるようだ。」


ということです。


ちなみに「継続的な支援の副作用は認められていない」ことは研究を通して一貫している結論なので、


出産のとき一人ぼっちにさせないで!!!


と、切に切に思います。


特にコロナの影響でパートナーの付き添いすら認められなくなってしまった方がたくさん。

どんなに寂しいか。心が痛みます。

寂しいだけでなく、上記のデータで見られるような効果がなくなる、と考えると大変な事ですよね。

また、その後の育児や家庭関係への影響など考えると

一刻も早く付き添いを再開、または認めて欲しいです。


せめてリモート(電話やタブレットを利用した)の付き添いに取り組んで欲しいです。

アメリカでは病院で携帯利用やWifiがあるのは当たり前。

という背景もあってリモートのサポートを導入するのもさほど難しいことではありませんでした。


日本ではそのまますぐ導入、というのが難しい場合も多いと思いますが、

どんな形なら取り入れられるのか、みなさんで考えていかれれば幸いです。


【追記】2020年12月8日

上述のコクランレビュー2017の著者の一人であり、筑波大学の福澤(岸)利江子先生が

インフォグラフィクス発表当時からアップデートされたデータを公表されていました。

福澤先生の主催するチャイルドリサーチネットの「ドゥーラ研究室」に掲載されています。

(チャイルドリサーチネット 【ドゥーラ LABO編】新型コロナウイルスの流行と出産付き添い

https://www.blog.crn.or.jp/lab/03/46.html)


許可を頂いて、ここに紹介させていただきます。

17か国の研究対象者15,858名を含む計27件の無作為化比較試験をまとめたレビュー(メタアナリシス)の結果

出産中に継続的な付き添い支援を受けた女性は、受けない場合と比べて:

自然な経腟分娩が8%増える

出産体験への不満足が31%減る

出産中の鎮痛剤使用が10%減る

分娩時間が平均41分短くなる

帝王切開率が25%減る

吸引分娩・鉗子分娩が10%減る

部分麻酔の使用が7%減る

産まれた赤ちゃんのアプガースコア**低値が38%減る

Bohren, M.A., Hofmeyr, G.J., Sakala, C., Fukuzawa, R.K., Cuthbert, A. Continuous support for women during childbirth. Cochrane Database of Systematic Reviews 2017(7)

** 出生直後の新生児の健康状態を示す指数で、新生児仮死の指標である。10点満点で、点数が低いほど健康状態が良くないことを示す。

この記事には、リモートサポートについて更に詳細な見解も含めて書かれており


「近年の国際的な考え方として、出産の付き添いは、ぜいたく品ではなく、人権ともいえる必需品です(WHO, 2018)」


という名言も紹介されています!

是非ご一読下さい。


© 2017 Doulaship Japan

一般社団法人 ドゥーラシップジャパン (doulashipjapan@gmail.com)